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口腔清掃について

[公開日:2018/10/30 /最終更新日: 2019/10/30 ]

訪問口腔ケアでは、要介護者と術者とのコミュニケーションが重要です。 テンダーラビングケア(心優しい愛情のこもったお世話)を続けることにより、要介護者とのコミュニケーションも良好となり、信頼関係も構築されてきます。 その信頼関係が、その後の機能的な口腔ケアの導入になり、成功の可否にも繋がっていきます。

DENTAL HYGIENIST’S PROFILE

口腔清掃について

まき歯科医院(埼玉県さいたま市)

特別養護老人ホーム湘南ベルサイド(神奈川県茅ケ崎市)

いの さだこ

猪野 貞子先生

口腔清掃について

信頼関係で行う口腔ケア

器質的口腔ケアと機能的口腔ケア

口腔ケアは、う蝕や歯周病・誤嚥性肺炎を予防するための口腔を清潔にする器質的口腔ケアと、リハビリなどの機能訓練も含めた機能的口腔ケアの二つに分けられます。専門的な口腔ケアとは、どちらかではなく、どちらも不可欠で、全ての方々にこの両方のケアが必要と私は考えています。

訪問口腔ケアは、急性期病院などでの術者主導の口腔ケアとは異なり、要介護者と術者とのコミュニケーションが重要になります。口を開けない・咬んでしまう・暴れる等々。普段から介護している方々の手に負えない要介護者の対応を任されることが多いです。ユマニチュード(見る・話す・触れる・立つを主とする尊厳に基づくコミュニケーション ※口腔ケアでは立つは除く)や脱感作などを駆使して対応をするのは勿論ですが、全ての要介護者に対して気遣っているのは、入室して直ぐのアイコンタクトでの挨拶・行為の説明・その都度の声掛け・優しい関わり・声のトーンやスピード・終わりに一緒にケアに協力して下さったお礼と労いの言葉かけ・また来週伺いますとの言葉かけ等々です。

このようなテンダーラビングケア(心優しい愛情のこもったお世話)を続けることにより、要介護者とのコミュニケーションも良好となり、信頼関係も構築されてきます。自然にユマニチュードや脱感作を行っている感じでしょうか。その信頼関係は、その後の機能的な口腔ケアの導入になり、成功の可否にも繋がっていきます。

患者様に寄り添った口腔清掃

私が要介護者への口腔清掃で基本としているのは、①『Tell』声掛け ②『Show』見せる ③『Touch』触る ④『Do』行うです。

例えば、歯ブラシで磨く時には、①「歯みがきしましょう」と言って(Tell声掛け)②歯ブラシをお顔の前で見せ(Show見せる)③歯ブラシを感じて貰える様に下口唇に軽く触れる(Touch触る)。下口唇はとても感覚が鋭いので、下口唇に触れることで、歯ブラシの質感を記憶から引き出してもらい、口の中に入ってくるのだという気持ちの準備をしてもらうのに役立てます。④口腔内に入れてブラッシングする(Do行う)。要介護者は③の下口唇に触った感触から歯みがきだと理解して下さるので、開口して協力して下さることが多いです。

また、うがいの出来ない方には口腔ケア用スポンジや口腔ケア用シートを使用して、うがいの代わりに口腔粘膜、歯肉、舌、口蓋などの口腔内全体を清拭します。これは初めて適用する要介護者には経験されてない事ですので、よく説明してからより一層ゆっくりと口腔内に挿入します。口腔ケア用スポンジは、口腔内で水分が滲み出ないように、しっかりと手指で絞ったのちにティッシュで再度水分を除きます。口腔内で水分が滲み出ると、誤嚥の危険性が増すばかりか、要介護者のムセに繋がり、口腔ケアに対する恐怖経験になってしまう可能性もあります。 口腔ケア用スポンジでの清拭は頻繁に水洗・水分除去を繰り返します。時間を短縮したい時には、その都度使い捨ての口腔ケア用シートを指に巻いて食渣や細菌を清拭し回収すると便利です。

要介護者の、その時の状態や環境・費用の問題も考慮して最善の使用材料を選択して紹介して差し上げるように関わっていきます。

口腔内がきれいになると…

口腔内の剥離上皮の除去や感染源になる菌を減らして清潔にした後には、口腔ケアの刺激で新鮮な唾液が次々と分泌されてきます。この新鮮な唾液で咽頭も潤いが戻り発声し易くなったり、痰の分泌が少なくなったりします。痰が少なくなると、食事が痰に引っかかることによるムセや痰が気になって食べられないストレスが減り、安心安全に食事が出来るようになり、不穏が無くなる場合もあります。

また、食事が摂れることにより、免疫力が向上し体力も出て体調の改善も期待できるため、褥瘡の治癒速度にも影響してきます。
このような一連の効果に対応すべく、器質的口腔ケアの後には必ずその対象者の現状に合致した機能的口腔ケアを施行し、自立嚥下を援助する必要があると考えます。

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